「結婚や子どもが生まれたぐらいではたばこはやめられない」元喫煙者の父が現喫煙者の弟を窘めた背景

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一昨日、あまりの暑さに窓を開けていたら、ベランダからたばこの臭いがしてきたので、慌てて閉めて久しぶりにクーラーをつけました。

 

子どもができてから(妻が妊娠してから)たばこの煙については、色々な疾病を引き起こすといわれている為、より敏感になりました。元々臭いが苦手なのもありますが。

喫煙者がいる飲み会に行くと、帰宅後に服やバッグがタバコ臭くなっていて、体も浴槽に浸かっても気になる臭いが残るのが嫌なんですよね。

 

種々の健康被害について「本当に喫煙のみが原因なのか?喫煙者の生活習慣・生活リズムにもリスク要因があるのではないのか?」という疑問も持っていますが、健康被害云々以前に、単純に臭いが嫌いな為、避けるようにしています。

 

というわけで、たばこは好きではないのですが、私の弟が喫煙者なのです。昨年、実家に家族が集まったときに、近々結婚するような話をにおわせ、「結婚して子どもができたら、(たばこを)きっとやめるよ。」みたいなことを言ったのですが、父曰く「それぐらいじゃやめられないのがたばこなんだよ。」と窘められていました。

  

 

父は元喫煙者

私の父は数年前、禁煙外来に通い、成人してからの喫煙習慣に終止符を打ちました。私が実家を出てからのことだったので、帰省して聞かされた時には驚きましたね。

 

父は勤務者の殆どが喫煙者の工場勤務のため、休憩時間に喫煙をして雑談することが当たり前の環境だったそうです。ゆえに、たばこをやめようと思ったときも付き合いでやめられなかったとか。

 

そんな父が禁煙外来に通ってまでたばこをやめようとしたきっかけはなんだったのか?

 

やめようと思ったきっかけ

父は禁煙外来を受信する数年前に登山にハマり、富士山登頂に挑みます。なんとか登頂はできたようなのですが、途中途中で体力の衰えと、胸と呼吸の違和感を覚えたそうです。

日々、喫煙はするものの、工場での力仕事や趣味のウォーキングで体力は人並み以上にあると思っていた父にとって、この富士山登頂は老いを実感する衝撃の出来事だったようなのです。

 

特に、胸が苦しくなることが顕著だったようで、これは喫煙により血管に負担をかけているためだと結論付けた父は、禁煙しようと決意します。

 

過去にもやめようと思ったことはあった

 

私が生まれたときや、弟が生まれたときに、それをきっかけにやめようと思ったそうです。何日かはやめられたそうですが、工場で他の皆が吸っていることに対し、「吸いたいな」と思ってしまい、それを我慢することでイライラが募ってしまったそうです。

 

そのため、仕事にも家庭でもイライラしてしまう時間が増えてしまったことから、喫煙欲求を我慢しきれずたばこを吸ってしまい、禁煙に失敗したそうです。

 

妹が生まれたときには「どうせやめられない」と思ってしまい、禁煙しなかったとか。

(ちなみに私は3人きょうだいの長男です。)

 

弟への諫めの言葉はこのときの経験から出てきたんですね。所謂、「経験者は語る。」というものです。

 

禁煙外来ならやめられる

ゆえに、「自力ではやめられない。」と経験から学んでいた父は、その時頻りにCMなどで宣伝されていた、禁煙外来に通うことになったそうです。持病があり、定期的に通っていた病院で禁煙外来を実施していたので、受診もしやすかったみたいですね。

 

そして禁煙外来にしっかりと通った結果、見事に喫煙をやめられたのです。

 

自力禁煙での挫折の原因だった、「他人の喫煙を見て吸いたくなる」ことが一切なくなったそうです。最終的には吸いたい気持ちが分からなくなったとも。

 

なので、辞めるなら自力ではなく、禁煙外来「治療」しなさいというのが、弟に告げたいことだったんですね。その方が楽だし、辞められる確率も高いと。

 

弟が喫煙し出したのは大学時代の頃のようで、周りに喫煙者が多かったからのようです。現在も喫煙者が多い職場で働いているので、父は自分の境遇と重ねていたのでしょうね。

 

喫煙習慣がなくなったら増えた体重

喫煙習慣がなくなってすぐの父は、食欲が増し、一気に体重が増えました。お腹周りの肉付きが特に。元々食べる量が多かったんですけど(夕食後にポテトチップスやせんべいを食べる)、母曰く、それ以上になったとか。(最近は落ち着いてきたようですが)

 

そしてその増えた体重を減らすために、ウォーキングの量を増やしたようなのですが、なかなかお腹はへこまないようです(笑)

 

再びの富士山登頂

禁煙して数か月後、父は再度富士山の登頂に挑みます。禁煙もしたし、ウォーキングの量も増やしているし、前よりは苦しくなることはないだろうと思っていたようです。

 

しかし、父の予想に反して、やはり胸は苦しいままだったそうです。この後、何度か登山を経験しますが、胸の苦しさは登山のたびに起こったようです。父曰く、「苦しいんだけど、我慢できないぐらいではなくて、でもやっぱり苦しい」とのこと。

 

実は心臓疾患だった

 その後、日常生活を送る中でも胸の圧迫感が現れ(症状は軽くすぐ収まる程度らしいのですが)、「これは何かおかしいのではないか?」と感じた父は、脳や心臓などあらゆる検査を受けたそうです。

 

そこで分かったのは、「心臓の血管が詰まっている」ということ。心臓には大きな血管が3つあるそうなのですが、そのうちの1つがコレステロールが溜まって細くなっており、それが胸の圧迫感を引き起こしているのではないか?というのが医者の見解でした。

 

そうして、細くなった血管を拡張する器具を設置する内視鏡手術にトライしたのですが、医者曰く「実際見てみたら器具を設置するほどでもなかった」とのことで、投薬療法に切り替わりました。

 (内視鏡入れてからじゃないと分からないもんなんですね。)

 

そして現在

こうして、富士山初登頂から数年経ち、胸の圧迫感の原因が分かり、治療も始めることができました。

喫煙していなかったら心臓はまだ大丈夫だったのだろうか?そもそも持病(家族性コレステロール血症)があるから、どのみち詰まっていたのか。たらればを言えば尽きません。

子どもの私からすると、喫煙できない場所にいると、父はたいていイライラしていたので、そのストレスの積み重ねも一要因なのだとは思いますが。

 

父は「喫煙をやめてよかった」と言っています。なんで吸っていたのか今では思い出せないぐらいだとも。孫に手放しで会いに行けるのも嬉しいと。

 

年齢のせいもあると思いますが、イライラして癇癪を起すことが減りましたし、その癇癪も穏やかになっている気がします。

 

投薬治療には様々な副作用があるようなので、父の健康寿命が短くなるのではないかという懸念はありますが、健康にも気を使うようになったみたいですし、母と仲睦まじく長生きしてほしいと思っています。

 

 孫にいいところ、いっぱい見せてよ、おじいちゃん!