プリウスの謎【ココ氏100記事記念企画 本編】

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お題「【ココ氏100記事記念企画】プリウスの謎」

 

※今回の記事はこちらで予告したものとなります。

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本編

ココさん(id:koko2525)からの3つのヒントエピソードをもとに、私の「ココさんが何故プリウスを買うに至ったのか?」に対する解答を物語にしてみました。合っているかな?

 

彼女

 

彼女は「ムスタング以外はギターと認めない」と仰いました。そんなことを言ってしまったら、世のギターと称される木材の塊の殆どは一体何なのか?そんな疑問は彼女の前では霧消してしまいます。

 

 

私は彼女のそんなエキセントリックなところに惹かれました。一世を風靡した女子高生軽音部漫画の登場人物に扮し、猫耳を付けて「スメルズ・ライク・ティーン・スプリット」を弾く姿は、カメラのレンズ越しにも輝いて見えました。

 

彼女は「ミナミ」と名乗りました。彼女はチョコクリスピーを主食としており、「チョコクリスピーを食べられない奴は人外だ」と言って憚りませんでした。

 

私は牛乳が体質的に合わなかったのですが、彼女に合わせるためにチョコクリスピー好きと偽り、「ココ」と名乗るようになりました。私のアウトプットはみるみるうちに悪くなり、本業にも影響を及ぼしましたが、リスクヘッジとしてミルミルを飲むことで耐え忍びました。

 

習慣

 

彼女は私の働くスーパーで、週に1度決まった曜日、決まった時間に買い物をしていました。主食のチョコクリスピーはその際にまとめ買いをして、愛車のプリウスのトランクに目いっぱい詰め込んでいくのでした。

 

私はその曜日と時間を把握し、チョコクリスピーの中にカメラを混入させることに成功しました。本業で培った能力が生きた形です。思惑通り、彼女に連れ去られたカメラ入りチョコクリスピーは彼女のプリウスで運搬され、彼女の家のキッチンへと配備されたようでした。

 

 

彼女は毎朝、新しいチョコクリスピーの箱を開け、愛用の丼碗に山のように盛りつけると、ミルクをかけて食べておりました。箱に残ったチョコクリスピーは昼食用らしく、彼女は箱ごとレザーのトートバッグの中に無造作に投げ入れ、仕事へ出かけていきます。夕食は「時計仕掛けのオレンジ」を鑑賞しながら1箱丸々平らげるので、1日に2箱食べている計算になります。

 

私は、彼女のトートバッグに入ったチョコクリスピーと、キッチンのチョコクリスピーに混入させたカメラのレンズ越しに、彼女の生活の大半と趣味嗜好を把握しました。赤い服が好きなこと。タイツのデニールは16を好むということ。ティッシュは1度使用した後ポケットにしまい、3度使ってから捨てること。スプーンを3度口に運ぶごとに舌先で弄ぶこと。それらを逐一模倣し、私は「彼女そのものになる」ことに執心しておりました。

 

彼女はある時、私の勤めるスーパーで頻りに何かを探している素振りで、店内にいた同僚に声をかけておりました。休憩時間に店内各所に設置された監視カメラから、彼女の姿を追っていた私は、まさか店内放送で彼女のもとに呼び出されるとは思っておりませんでした。

 

私は焦りました。「まさか、私の完璧な細工がズブの素人の彼女にばれたというのだろうか?いや、そんなはずは…」店内放送で呼び出され、彼女のもとへ向かう道中、様々な「嫌な予感」に苛まれました。

 

私は学生時代に古本屋で「青少年のための写真教室」という書籍の間に挟まった、「副読本:撮問のすゝめ」を見つけて衝動買いして以来、アバンギャルドな撮影街道をひた走っておりました。ひた走った先には、国の諜報機関からのスカウト兼検査官が我が家に現れ、抜き打ちのテストがその場で課せられるも、何の問題もなく華麗に解いた後、検査官を袖にするという、まさに夢のような出来事が待っていると思っておりましたが、そんな夢なようなことは所詮夢のまた夢でした。

 

 

しかし、私の技術は何者かの「撮影」により見透かされ、私の元には度々「依頼」が入るようになりました。訝しみながらも、「撮影」の事実がばれている以上、私には「依頼」遂行するしかありませんでした。半ば強制の労働ではありますが、「依頼」には琴線に触れるものも多く、また、多額の報酬が振り込まれることもあり、いつのまにか趣味と実益を兼ねた、「生業」となっていったのでした。

 

店内

彼女は「撮影していることを秘匿する代わりに付き合え」という条件を提示してきました。私は、言葉通り「付き合うのか」それとも「彼氏として交際するのか」困惑し、返事に躊躇しましたが、一瞬間の後に視界が暗くなるのを感じ、意識が遠のいていくのでした。

 

私は軽い貧血を起こしていたようで、気が付くとスーパーのバックヤードに横たわっておりました。私をバックヤードまで運び出してくれた同僚に話を聞くと、気の毒そうな顔で「そういうこともあるさ、気にするなよ。飲みに行くなら付き合うぞ」と親身になってくれているようでしたが、私には何のことだか分かりませんでした。

 

それ以来、彼女は店に現れることはありませんでした。彼女の家にあったチョコクリスピーもすべて処分されたようで、カメラの映像を映していたモニターには何も映らなくなっておりました。

 

1年間

彼女の消失以来、私には「依頼」が来なくなっておりました。生業とするものが無くなりましたし、彼女の来ないスーパーで働いていても仕方がありませんから、職を辞し、僅かな手がかりでも彼女に辿り着ける方法を探すことに集中しました。

  

私は彼女の消失後も惰性でチョコクリスピーを食べていたのですが、時折なんとも言えない違和感を感じることがありました。チョコクリスピーを毎日食べているからこそ気づける違いといいますか、舌触りに微妙な違いがある個体があるのです。そして、その違和感を感じた日は悶々としてしまい、眠りが浅くなることに気づきました。

 

 

さらには、その「違和感チョコクリスピー(仮にチョコクリスピヰとする)」でなくては空腹を満たせなくなり、私は以前より大量のチョコクリスピーを買い込み、チョコクリスピヰを探して食べることが生活の目的になっていきました。

 

そんなことが1年間続きました。このような状態ですから、新たな仕事にもありつけず、「生業」で稼いだお金も無くなりました。地獄とはまさにこのような日々のことを言うのでしょう。

 

1年後

夢中でチョコクリスピーを貪り、チョコクリスピーが見せる幻覚の中にいた私の目の前に彼女が現れたのは、夢だったのでしょうか?あろうことか、涙を流して私と「付き合う」と言ってくれたような気がします。それは言葉通り「付き合う」だけなのか、「恋人として交際することなのか」どちらだったのでしょうね。

 

答えが出ないまま、白昼夢の世界を彷徨っていた私が意識を取り戻すと、辞めたはずのスーパーのバックヤードに横たわっておりました。目を開けると付き添ってくれていたらしい同僚が、気の毒そうな顔で「そういうこともあるさ、気にするなよ、飲みにいくなら付き合うぞ」と親身になってくれているようでした。私は長い夢を見ていただけだったのだろうかと落胆し、バックヤードの壁に掛けてあるカレンダーに目をやると、店内放送で彼女のもとに呼び出されたあの日から1年経っていました。

 

私は混乱し、駆け足で店の駐車場に出ていきました。

 

プリウス

口座残高を見やると、プリウスを1台購入できる分だけの結婚資金が残っておりましたので、急ぎ足でディーラーに直行し、躊躇いなく購入を決断いたしました。そして、納車日が来るまで彼女のプリウスを「監視」しておくことになりました。

 

 

1年間の記憶を喪失し、混乱した頭でスーパーの駐車場に出て行った私は、彼女のプリウスを「頂く」ことにしました。なぜかそこに彼女のプリウスが「ある」と確信した私は、一瞬のうちに彼女のプリウスを見つけ出し、カメラ付きIoTデバイスを設置しました。

 

IoTデバイスから彼女のプリウスの現在の内装・外装に関する情報を全て手に入れ、彼女と全く同じプリウスを購入した私がすることはただ一つ。彼女のプリウスと私のプリウスを「取り換える」ことでした。

 

現在

きっと彼女は気が付いているはずです。気が付いているにもかかわらず、私を泳がせている。そんなシチュエーションに私は興奮を覚え、今日も彼女の匂いが染みついた運転席に座り、プリウスを走らせているのです。

 

「みーちゃん。」

 

私は胸の中の赤子「みなみ」に向かって語りかけます。「君は将来、猫耳を付けてあずにゃんのコスプレをしながらムスタングをかき鳴らし、ステージの上で輝くのだよ」と。

 

おわりに

この物語は私が生み出したフィクションですが、もしかしたら本当のことなのかもしれません。その答えはココさんだけが知っているはず。ココさんの正解に言及する記事を楽しみに待ちたいと思います。

 

果たして、ライバルたちを出し抜き、栄光のココ・マイスターに輝くことはできるのか?乞うご期待!

  

採点編

ココさんの採点記事です。

www.koko269.com

 

ココ・マイスターの栄冠は誰の手に!?ココさんの楽しいコメントと皆さんへの愛が語られています。