大学時代、バイトから帰ると玄関から警察官が出てきた話。実家史上最悪の日。

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遡ること10年以上前、実家で暮らしていた大学時代のお話です。当時私は週に4日、実家から自転車で15分ほどの距離にあるスーパーマーケットで夕方からアルバイトをしておりました。基本的な勤務時間は18時から22時(客が少なければ切り上げあり)。着替えを終えて家に帰る時間は22時20分ごろになります。

 

その日もいつもと変わりなくアルバイトを終え、のんびり自転車を濃いで家のある通りまで帰ってきたのですが、家の前に見知らぬ車が止まっていることに気づきました。その車は…パトカー!!

 

 

警察官登場

時刻は22時20分ごろ。この時間にパトカーが家の前に停まっているということは、巡回ではなく我が家に喫緊の用があるということ。私の頭にはよからぬ推測が駆け巡りました。

 

父が癇癪を起こし家族を…。

弟が癇癪を起こし誰かを…。

私は…何もしていないよな…。

 

はやる気持ちを抑え、冷静になろうと心を落ち着けつつ自転車を所定の場所に置くと、玄関から警察官が2人出てきました。私の姿を認めると、「ここの息子さん?○○大学に通ってるんだって?立派だねえ。」と和やかな感じで話かけてきました。

 

不気味な和やかさ

突然目の前に警察官が現れ、さらには和やかに話しかけてこられたので、少々混乱してしまいました。これから深刻な自体が待っているから、あえて優しく和やかに振舞っているのか…と勘繰ったほど。

 

警察官は「夜遅くにごめんね、ちょっとお邪魔しているよ。」と言い、隣の家の玄関へと歩いて行きました。

 

ん?隣家?

 

隣人の話

隣家に向かう警察官の後ろ姿を見て、思い至ったことがあります。

 

いつ頃からかは分かりませんが、隣人は実家に面した2階の窓から暴言を吐くようになっていました。2階にある弟の部屋は隣人が暴言を吐く窓から見える位置にあり、度々侮辱的な言葉を投げかけられていたそうです。

 

弟の部屋で話していると、大声ではないのですが、低く気味の悪い声で「この泥棒!」「人殺し!」「おまえの家は犯罪者一家だ!」などといった声が聞こえてきて、気分が悪くなり、私の部屋に移動することも度々ありました。

 

この件に関して、我慢できなくなって親が通報したのかな?と思ったのでした。

 

ではなぜ夜中?

しかし、わざわざこんな夜中に警察に来てもらうほどのものかな?日中とか夕方でいいのでは?とも思ったのです。両親とも仕事をしていましたが、私がアルバイトに行くまでには帰ってきておりましたし。

 

急を要す事態があったのだろうか…と一層不安になりながら玄関ドアを開けると、両親が出迎えてくれました。妹と弟もいるようで、家族は皆無事なようでほっとしました。

 

事の発端

家に上がり、母が説明してくれた話によると、リビングで父と二人で話をしていたら、玄関の方から「ガツッ!」という大きな音が聞こえたそうです。何かと思って玄関の方へ行ってみると、再度「ガツッ!」という音とともに玄関に衝撃が走り、玄関ドアを何かで叩かれていることに気づいたようでした。

 

打撃は2度で終わり、玄関から誰かがゆっくり立ち去った音を確認した後、おそるおそる玄関ドアを開けたところ、つるはしのようなものを担いだ人物が隣家へ歩いて行く姿が見えたそうです。

 

玄関ドアには打撃痕が残っており、それを見た父はすぐさま警察に電話をしたそうです。 

 

話し合い

その後、警察官が隣人を1人連れてきて、我が家のリビングで話し合いが始まりました。私は同席はしませんでしたが、リビングの話し声が聞こえる階段で耳をそばだてておりました。

 

話し合いに来た隣人(以下『隣人兄』)によると、隣人は母(以下『隣人母』)と兄弟2人で暮らしており、我が家に暴言を吐いているのは隣人母とのこと。数年前から認知症の症状が出ており、我が家への暴言はそれに起因しているらしいのです。

 

今回、家のドアを破壊しようとした犯人も隣人母で、隣人兄はひたすら平謝りしていました。今後の対応については、再度我が家に危害を加えるようなことがあれば、些細なことでもすぐさま警察に通報すること、破損した玄関ドアは弁償することで落ち着きました…が。

 

乱入

話し合いが一段落したところで、外から喚き声が聞こえてきました。

 

「息子を返せ!」やら「何やってるのか分かってるんだぞ、この犯罪者!」やら、隣人母の声が夜の澄み渡った空気に響き渡ります。警察官が1人外に出て、対応にあたりますが、一層ヒートアップ。

 

「あんた本物の警察じゃないだろう!私は見たことないよ!」「息子を返せって言ってるんだよ!あの家は泥棒なんだよ!」「悪人に仕立て上げる気だな!?そうはさせねーぞ!」など、常軌を逸した妄言が次々と飛び出してきたのには恐れを通り越して笑いすらこみ上げてくるほどでした。

 

我が家での話し合いを終えた隣人兄が駆け寄り、「近所迷惑だろ!」「自分がやったこと分かってるのか!?」「この馬鹿!謝れ!」と叱咤し隣人宅に強制連行されていきましたが、家に戻っても興奮は収まらないようでした。

 

宴のあと

その後、隣人母はなんとか落ち着いたようで、警察は職務を終えて帰っていきました。その日はこの出来事に大分ショックを受けていたようで、なかなか寝付けなかったことを覚えています。

 

その翌日に我が家では家族会議が開かれ、前日のおさらいと共に、隣人が再度怪しい行動を取ったら警察に通報すること、変な挑発には乗らないこと等、今後の対応について話し合いました。

 

破損したドア

破損したドアは傷があるだけで、機能としては問題ありませんでした。ただ、打撃痕が4つあり、また鍵穴のある場所もよく見ると傷がついていることが分かり、警察に通報した日以前にも、隣人母が我が家のドアを壊そうとしていたことが判明しました(ドアの修理見積の際に隣人に問いただしたところ、1度目の犯行については黙っていたことが判明)。

 

また、このドアに関しては修理に必要な部品が製造修了になっていたようで、部品探しから修理が完了するまでに半年ほどかかりました。その間、ドアの傷を見ては暗澹たる思いになったものです。

 

その後の隣人

以降、おかしな行動は起こさなかったものの、窓際で独り言のように「ばーか」だの「きえろ」だのと呟いていたようでした。

 

そんな隣人も事件からおよそ5年後に引っ越していきました。私は社会人になり実家を出ていたため、正月休みに帰省した際に知らされたのですが、「お隣さん引っ越したのよ」と私に告げた時の母の穏やかな顔は忘れられません。

 

おわりに

以上が実家史上最悪の日の顛末でした。10年以上経過した今だからこそ、このようにお話することができますが、当時はなかなか辛かったですよ。

 

家族も犯行現場に居合わせることなく、身体的な危害が加えられなかったことは本当に良かったと思います。私のバイトは客が少ないと早めに切り上げられる日もあったので、その日もしも早上がりして犯行現場に居合わせていたら…と思うと…。

 

先日お話した迷惑電話のお話もそうですが、実家にはやはり何らかのエネルギーが宿っているのでしょうか。映画「シャイニング」のように隣人に影響を及ぼしたのでしょうか…。

 


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冗談はともかく、この件は実家の話をするにあたって忘れることができない一番怖いエピソードです。前回のお話で「とっておき」と自分でハードルを上げてしまいましたが、ご期待に応えられましたでしょうか?