アシダカグモと共に暮らした時の思い出。独身時代と新婚時代。

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先日、家に少し大きなハエトリグモがおりました。家クモは害虫を食べてくれる益虫なので、我が家では「よろしく」と挨拶をして放置しておく方針なのですが、息子が生まれて、一瞬「大丈夫かな?」と思うようになりました。

 

滅多なことがないと寄ってこないだろうと思い、結局は今まで通り放置しているのですが。

 

今回のハエトリグモは少し大きなサイズだったので、「彼」と暮らした日々のことを思い出しました。「彼」とはゴキブリ(以下、Gと略します)の天敵、アシダカグモ(通称:アシダカ軍曹)のことです。

 

※今回、写真を載せていますので、苦手な方は目次から「まとめ」までお飛びください。

 

 

アシダカグモとは

一目見て、「こいつは危ないやつに違いない!」と思わせるフォルムを持つ、足がとても長く動きが速いクモ、それがアシダカグモです。そのフォルムに反して、毒や害はなく、人間に対しては臆病なクモなのです。

 

彼らが食べるのはG。みんなが嫌いな害虫を食べてくれる頼もしさから、一部では「軍曹」の愛称で呼ばれているようです。

 

フォルムを受け付けない人にとっては彼らも不快害虫でしかないのですが(笑)

 

そんなアシダカグモとは2度遭遇したことがあります。1度目は一人暮らしの時、2度目は結婚に向けて現在の家に引っ越してからすぐの時です。

 

1度目の邂逅

ある夏の日、住んでいた1Kのアパートで夕食を食べようとしたときのことでした。キッチンで作った料理を部屋へ持っていったときに、なにかしらの違和感を感じたのです。

 

違和感の正体

「もしかして…Gかな、だったら食事どころではなくなるな。」と思い、食事に手を付ける前に違和感を感じた方向を見ると、手のひらサイズの今まで見たことのない物体がいたのです!

 

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(左)遭遇した手のひらサイズのアシダカグモ  (右)先日遭遇したちょっと大きめのハエトリグモ

 

足は八本。ということはクモか…、動かないが、この大きさは相当ヤバイの奴なのではないだろうか?などと思いを巡らせ、暫く「彼」と見つめ合い、次の一手を考えました。

 

出した結論は、とりあえず食事を食べよう!

(うどんだから、伸びちゃうし)

 

食後

食事を食べ終わり、「彼」がいた方向を見ると、先ほどと同じ場所に「彼」はおりました。その佇まいは「これが最後の晩餐になるだろうから、ゆっくり食べさせてやったのじゃ」と言わんばかり(に見えました)。

 

再度、恋に落ちるほど見つめ合った結果、「彼」はこのまま距離を詰めなければそこから動かないように思えました。

 

それならば、と私はノートパソコンを立ち上げ「彼」について調べることにしました。当時の情報機器端末はオンボロのノートパソコンしかありませんでしたから、立ち上げまでに非常に時間がかかりました。この間、私の頭の中に走馬灯が走ったのは言うまでもありません。

 

調査結果

検索エンジンに「クモ 足が長い 危険」と打ち込んだ結果、私が対峙している「彼」の正体がアシダカグモであると告げる情報と、その頼もしいエピソードの数々を仕入れることができました。

 

このフォルムで人間に害がない…だと!?

 

しかも、夏場に出没するGに対する最終兵器だったとは、なんたる僥倖!危険がないと分かり、急に「彼」に親近感が湧いた私は、コミュニケーションを取ろうと彼に近づきました。

 

すると、私から逃げるように物凄い速さで壁を疾走していったのです…。あれには本当にゾクゾクしました。。Gより速く動くなんて…(そりゃそうなんですが)。

 

共同生活

その日から、「彼」との共同生活が始まりました。もともとGの遭遇率は低かった部屋でしたが、その夏は1度も見かけなかったと記憶しております。

 

「彼」は私が帰宅すると、カーテンの陰から「おかえり」と言わんばかりにひょっこりと登場したり、私が入浴していると「一緒にいいかな?」なんて男前な出で立ちで浴室の側面に現れたりして、お茶目な面を垣間見せてくれました。

 

そうして、2週間ほど経過した頃、はたりと「彼」は私の目の前から姿を消し、ひと夏の恋は終わりを告げました。

 

2度目の邂逅

現在の家に引っ越してきたばかりの夏、「彼」と再会を果たします(と言っても、以前のアシダカグモとは個体が違いますが)。

 

妻の入浴中、私がリビングで寛いでいたところ、壁面に懐かしい姿を見ました。「彼」が私の結婚を祝いに来てくれたのだと思い嬉しくなりました。

 

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私はその喜びを妻と共有したいと思い、入浴を終え、リビングに現れた妻を満面の笑みで迎えました。そして「彼」を指さし、「友人が来てくれたよ!」と言い放ったのでした。

 

妻は「こいつ気が狂ったのか?」という目で一瞥した後、「彼」の姿を視界に捉え驚きたじろぎました。そして「無理!無理!無理!無理!」と浴室の方へ逃げて行ったのです。

 

妻を説得

私は逃げて行った妻を追いかけ、妻に「彼」の偉大さについて語りました。「人間に害はないこと」、「Gを食べてくれること」、「そして意外とチャーミングなこと」などを。

 

妻は半信半疑のようでしたが、「害はないこと」を聞いて少し安心したようです。しかし、「彼」が視界に入り特技の「こうそくいどう」を披露すると、「絶対眠れない!」「実家に帰る!」と狂乱し、喧嘩に発展してしまいました。

 

妻、慣れる

そんな妻でしたが、3日経つ頃には平気になり、「彼」も分を弁えたのか、妻の視界に極力入らないようにしているようにも思えました。

 

もともと爬虫類という独特なフォルムをもつ生物たちを「可愛い」と仰る妻ですから、クモも問題なかったということでしょうか。

 

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鏡に張り付いたアシダカグモ。モノクロだとアーティスティックに見えませんか?

 

「彼」は私に対しては脱衣所の鏡に張り付き、「奥さん、可愛いじゃないか。」などと男同士のトークをしたがるなど、以前と同じような茶目っ気を見せ、「3人」の生活は楽しく続いていきました。

別離

それから1か月半ほど彼との共同生活が続きました。「彼」を連日見かけなくなり、そろそろ出て行ったのかな?と思っていたある日、玄関の近くに「彼」が居りました。いつもは広げていた長い脚が、縮こまっていました。近づいても逃げる様子はありません。触れても動きません。そう、それは「彼」の亡骸だったのです。

 

これまで我が家でGを見かけたことはありません。それは、「彼」が食べきってしまったからなのか、もともといなかったのかは分かりませんが、我が家には「彼」の餌が無かったのです。ゆえに、餓死、ないし衰弱死したのだと思われます。

 

最初はあれだけ嫌がっていた妻も、涙を流して悲しんでおりました。

 

これまで外に出ていく機会は何度もあったのに、「彼」は頑なに出ていきませんでした。玄関にいるときにドアを開放して出ることを促した際も全く興味を持ちませんでしたし、ベランダにも近づきませんでした。どうしてそこまでして私たちと一緒にいたかったのか…。

 

「彼」の骸は妻の実家の庭に埋葬しました。今では埋葬した場所に小さな花が咲いていると聞きます。

 

まとめ

以上、Gの天敵、アシダカグモとの2度の邂逅のお話でした。短い間でしたが、1度目は恋人として、2度目は家族として過ごしたあの日々は、私にとってかけがえのない宝物です。

 

2度あることは3度あると言う通り、3度目の邂逅はあるのでしょうか?次に会った時には、どんな話をしようかなどと考えてしまいます。また、妻や息子がどんな反応をするのか、楽しみです。

 

皆さんは、アシダカグモと遭遇したことはありますか?