職人が受けた衝撃。技術より見せ方なのか?

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先日、妻が友人たちとの食事会のために都内にお出かけになりました。その帰り道でファッションビルに寄ったところ、自身が出品しているハンドメイドマーケットの展示会が開催されていたそうで、「売れている人たちの作品はどんなものなのだろう?」という興味で見て回ったそうです。

 

そこで大きな衝撃を受けることになると知らずに…。

 

 

ハンドメイド職人

妻は専門学校で技術を学び、結婚するまではブライダル関連の縫製の仕事をしていました。「手先以外は不器用」と自負する通り、手先は物凄く器用です。その能力を生かして、出産してからは子供用品を作り、家計を助けてくれています。

 

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最近では子供用品を作る傍ら、ブライダル小物やアクセサリーなどを作ってハンドメイドマーケットに出品しています。単純に作ること自体が好きなのと、それがどの程度通用するのかを試してみたいという思いがあるそうです。

 

上には上がいる

ハンドメイドマーケットには膨大な商品が出品されています。自分の作品と似たような作品が出品されているのを見るにつけ、自分より上手な人がいることに愕然することもあり、「こんなものがこんな値段で売れるわけが…売れてる!?」と驚愕することもあり、そんな「よくわからなさ」も魅力の一つのようです。

 

どちらかというと、上手な人の作品を見る方がやる気が出るそうです。自分の技術の至らなさに忸怩たるものを感じつつも、負けてられないと奮起するようです。これが「職人魂」というものなのでしょう。

 

ハンドメイドマーケット展示

冒頭の話に戻しますと、展示を見て回った妻は「こんな付け方でいいの?」「これ、表はいいけど裏の作りが最悪…」「本当にこれが売れるの?」という衝撃を受けたそうです。当然ながら、しっかり作ってあるものもあったようなのですが、丁寧な作りとは程遠いものが多数展示されていたとか。

 

「これなら私の方が…」という思いもあったのでしょう。帰って来るなりご友人たちとの楽しい食事会の話ではなく、ハンドメイドマーケット展示の話を延々と聞かされ、その後微熱を出して寝込んでしまいました。そんな日に限って息子が2時間おきに起きるかなしさよ…

 

素人目には分からない

妻は小物を作っている際や、他者の商品と比較している際に、細かな作りの部分に対して「ここが難しい」とか「ここが凄い」私に説明してくれるのですが、素人の私には違いがあまりよく分かりません。正直な話、職人が「難しい」というから「難しい」のだろうという感想しか持てません。

 

もちろん、そんなことを言ってしまうと妻のモチベーションが下がるだけなので、褒めたり励ましたりしているわけですが(妻もとりあえず「話したいだけ」という部分があり、私が分からないことは割り切っているようです)。

 

結局は見せ方?

ハンドメイドマーケットで商品を購入される方は、私のような素人ばかりだと思うので(妻曰く、作れる人だったら作った方が速いものが多いらしい)、細かな写真を見て「見えない部分の作りが綺麗、この人は凄い人だ!」と思って買う人は稀だと思います。

 

ゆえに、職人目にはたいしたことがなくても、写りが綺麗なものや、流行りに乗っているデザインの商品が目につき、売れていくのではないかと思っています。

 

私もヤフオクで不要な服を処分していた頃、単に服の各部分のディテールを細かく写真に撮影するよりも、かっこよく見えるコーディネート写真を載せたほうが反応が良く、売れた経験がありますから、見せ方というのは重要な要素なのでしょう。

 

誤魔化したくない職人

ゆえに、写りをよくする写真の撮り方や商品説明の書き方を研究してみては?と提案してみたこともあるのですが、「実物のありのままを見せたい」「写真写りで誤魔化したくない」という職人ならではの回答が返ってきました。

 

実物と違うものが届いてがっかりされたくないのも分かりますし、自分のこだわりの部分(素人目には分からなくても)をしっかりと見せたいという気持ちもあるようです。

 

当人は「売れたい」という思いよりも「選んだ人に選んでよかったと納得してもらいたい」という思いの方が強いのでしょうし、私もその思いを尊重し、できる限り後押ししたいと思っています。

 

おわりに

こういった話はハンドメイド製品に限りませんよね。店舗でも陳列を変えただけで売り上げが上がったり、商品のパッケージをリニューアルしただけで販売数が伸びたりした話はよく聞きます。

 

ただ、最近は賞品の質よりも見せ方の方に重きが置かれているような気もします。「最近」私が気付いただけでずっとそういうものなのかもしれませんが。

 

それを否定するわけではありませんが、本当に「いいもの」というのはしっかり自分の目を磨き、余計な情報に惑わされることなく、見つけださないといけないものなのかもしれないなと思った次第です。