育休を取得して、毎日の殆どの食事を作る中で、ふと思い浮かんだことです。
「自分で作った料理は美味しい(=だから自炊する)」という話を目にすることがありますが、
そう感じる人は料理の初心者か、暫く料理を休んでいた人だと思うのです。
勿論、ジミー・ペイジのように作れば作るほど下手になるという意味ではなく、
作れば作るほど上達するのですが、主観として段々とそう感じなくなるのではないか?というお話です。
初心者は自分で設定するハードルが低い
おそらく、料理の初心者は「自分にはできないかもしれない」という思いがあって、
上手にできる想定をしていないところからのスタートになるはずです。
ゆえに、自分の作る料理に対するハードルが非常に低く、
少し味付けが失敗したとしても、
掲題の「自分で作った料理は美味しい」と感じるのでしょう。
私は一人暮らしをはじめた時分、「家族に料理できるの?大丈夫なの?」と心配されていたので、
「自分にはできないのかもしれない、でもやってみよう!」と作った料理が、
意外と美味しくできて、「自分で作った料理は美味しい」と感じたものでした。
今でも思い出せないぐらい、たいした料理ではなかったのですが。
慣れてくると「もっとできるはず」になる
料理に対して成功体験を味わうと、だんだんと自分に課すハードルが高くなり、
最初の頃に作った料理の味では満足できなくなってくる気がします。
最初はアバウトだったものが、味に対してセンシティブになってくることも。
もっと美味しくできるはず、もっと綺麗に盛り付けられるはず。
ここに臭みがある。この味が強くなりすぎている。などなど、
料理を作ったときの第一印象がネガティブポイントから入り、
「自分で作った料理は美味しい」と手放しで言えない状況になってきます。
さらには、お店の料理(プロ)とも比べ出します。
経験でも設備面等でも劣るのにおこがましくなってきます。
あそこの店はもっと〇〇が効いてて美味しかったのに。
あそこの店のあの料理のあの味が出せない…。
あそこの店は美味しいけど味が濃いからもっと優しい味で同じ料理を…。
などなど。
これは料理に限った話ではなく
でも、これって料理に限ったお話ではなく、あらゆることに言えるのではないかと思います。
最初は100%に対して、20%ぐらいの出来でも、「意外とできるもんだな」と思えて楽しかったものが、
段々と100%に対して、80%ぐらいの出来でも、「まだまだ全然駄目だな」と思うようになってくる。
ギターも最初はコードを覚えるだけでも楽しかったのに、
ソロを弾き始めるころには音の出方に満足できなくなったり、
プログラミングも最初は何となく書いて動くだけでも楽しかったのに、
コードが汚いともっとエレガントな書き方はないのか!?と追及し始めたり。
下手でも楽しかったものは、どんどんと「課題」が見つかり、苦しくなってくるように思えます。
でも、そこを乗り越えて自分の「理想」とするところに辿り着けたときの達成感は、
最初の「自分で作ったものは…」の何倍もの大きさになるのではないかと思っています。
だから人はハードルを上げ、究め続けるのではないかと。
まとめ
ですが、根を詰めすぎるとあまりよくないので、
たまには自分のハードルの高さに気づく、もしくは気づいてもらって、
ハードルを下げるか、別のことをして息抜きをしたほうがいいのではないかと思います。
最初に、暫く料理を休んでいた人も「自分で作った料理は美味しい」と感じるといいましたが、
これも高いところにあったハードルが、暫く休んだ分、低い位置に再設定されるため、
そのように感じるのではないかと思うのです。
その経験が自信を取り戻す、もしくは自分の再評価につながり、
休んでいた間に獲得した知見から、新たな価値を見出し、
以前より急勾配の上達曲線を描くようになるのではないかと思いました。
おまけ:私と妻の場合
少々蛇足になりますが、私と妻の場合はどうなのか?
についてお伝えしておこうと思います。
私の場合
私の場合は、外食が苦手なので、一人暮らしの時は基本的に自炊をしていました。
結婚してからも週末は作っていましたし、育休中の現在は毎日作っています。
ゆえに、もはや手放しで「自分で作った料理は美味しい」と思えません。
- もっと魚の臭みを消せたはず。
- 火を入れすぎた。
- 顆粒だしに頼りすぎてしまった。
といった課題ばかり見えてきます。
妻は美味しいと言ってくれるので、それはよかったと思うのですが。
それなりに美味しいものはできてるとは思うのですが、それなりにじゃダメなんです!
特にライフワーク?である、週末のボロネーゼづくりには一切妥協はありません。
もう、ハードル上がりっぱなしです(笑)
妻の場合
妻の場合は、結婚してから出産前までは、殆ど毎日作ってくれました。
私は毎度毎度クオリティの高い非常に美味しい料理だと思っているのですが、
- 本当はこんなはずじゃなかった
- もっと〇〇(お店)みたいな味にしたいのに
- あなたのあの味が出せない
などなど、毎回のように課題を口にしていました。
ただ先日、産後に久しぶりに作る元気が出て、得意料理を作ってもらったのですが、
「結構お美味しくできたかも」と言っていたのが印象的でした。
これはやはり、久しぶりに作って、ハードルが再設定されたからなのでしょう。
妻の久しぶりの手料理、大変美味しゅうございました。ありがとう。