妻が実家の洗礼だと思った出来事。

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先日は子どもを連れて実家に帰ってまいりました。父と母が実に見事に「じいじ」と「ばあば」に変身させたのはもとより、親戚の方々に笑顔を届けられたのことがとても良かったと思っています。

 

実家に帰るたびに思い出すのは、結婚の挨拶のために初めて妻を連れて実家を訪れた時のこと。妻は豪胆に見えて繊細で、目につく様々なことに対して何らかの思惑が働いているのではないか?と考えていたようで、挨拶後の帰路や家に帰ってから「あれに関しては問題なかったか?」という確認を数えきれないぐらいされた記憶がございます。まあ、「気を遣わなくてもいいよ」と言っても、初対面で気を遣ってしまうのは当然のことなのでしょう。

 

その中でひとつ、どう考えても「洗礼」だっただろうと思ったことがあったようで…。

 

 

実家の洗礼

事あるごとにワイドショーなどで嫁姑問題が取りざたされるぐらいですから、子どもの結婚に対して快く思わない方が一定数いるのは確かなのでしょう。

 

私の親についてはどうかと言えば、「ある程度距離を保ったうえで良好な関係を築こう」とする意欲を感じています。当人が嫁姑関係で苦労したこともあり、これは私が結婚する前からことあるごとに言っていましたし、今でもスタンスは変わっていないと思います。

 

結婚前のご挨拶

私は実家とは疎遠ではなかったのですが、こと恋愛・結婚に関しての話は気恥ずかしく親には全く話をしてきませんでした。ゆえに、妻を両親に報告したのは結婚を決めてからのことでした。

 

私単独で両親に結婚する旨を話し、後日妻を連れてきてご挨拶をする流れにしました。

 

食事は問題なし

挨拶の当日、両親に実家の最寄り駅まで車で迎えに来てもらい、その足で外食をしました。終始和やかなムードで全く問題なく食事を済ませることができ、ほっとした記憶があります。

 

食事のあとは、実家でお茶をすることになりました。

 

玄関で

さて、実家に着き玄関を上がると、スリッパを履くように促されました。妻は初めての私の実家に緊張したのか、心なしか顔が引きつっているように感じました。

 

しかし、椅子に座ると緊張が解けたようで普段見せる穏やかな表情に落ち着き、暫く両親と談笑しました。

 

この日は日帰りで帰宅しました。お互いの印象は良かったものと思い私は満足していたのですが…。

 

帰りの電車で

帰りの電車で妻は暗い表情で私に話しかけてきました。「私、本当に受け入れられたのかな?なんだか家に上がるなと拒絶されたような気がして…。」と。そんな不安になるようなシーンがあったかな?と振り返りつつ、そんなことはなかったと返すと、

 

「あれに耐えられなければ、敷居は跨がせないってことでしょう…?私、あれ、ずっとは無理よ…あの洗礼には耐えられない…」

 

と神妙な顔で私に告げたのです。

 

洗礼とは…

はて、そんな何かを「試す」シーンがあっただろうか?とその日一日の行動を振り返ってみますが、私には思い至らなかったので、私がトイレ休憩の際に何か不穏なことを言われたのだろうかと確認して見ると、そうではないとのこと。

 

「では、一体なんのことだろうか?」と思案していた私にじれったさを感じたのか、妻がぶっきらぼうに言い放ちました。「スリッパのことよ!」と。

 

スリッパ

スリッパ…?はて、妻のものにトゲでも仕込んであったのだろうか!?そんなえげつないことをする母だったのか!!と私が憤りを感じ、妻に確認して見ると「そうではない」とのこと。すると一体…?あまりの噛み合わなさに詳細な説明を求めてみると、「形状に悪意を感じた」とのことでした

 

この一言に漸く合点がいき、私は精いっぱい悪意を否定いたしました。「あれは我が家のデフォルトであり、家族は長年履いているから足裏が馬鹿になっていて痛みを感じなくなっているのだ」と。

 

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先日、実家から帰ったときに撮影。これ、どこで買ってるんだろう?

 

実家のスリッパはずっと「健康サンダル」的な足つぼを刺激するものなんです。それも、100円ショップ等で売っているチープなものではなく、かなりハードなレベルのものです。私は長年履き続けてきたので、久しぶりに履いても全く痛みを感じないのですが、妻はこういったものを履く機会がなかったため、相当痛かったとのこと。

 

確かに、慣れていない人にとっては嫌がらせでしかないよな…。でも、両親にはこれがデフォルトだから確実に悪意はないはずなんだと、妻に長時間弁明をする羽目になりました。

 

その後

念のため、母にスリッパの件について確認してみると、「それは思い至らなかった。ごめんね!」とのこと。以降我が家には初となる傾斜のないスリッパが常備されることになりました。

 

先日は弟が結婚相手を紹介するために実家を訪れたそうなのですが、その際には傾斜のないスリッパが用意され、疑心暗鬼になる被害者を出さずに済んだようです。

 

おわりに

普段から使っているものは他の人からすれば違和感を感じるものかもしれない。この経験は、結婚生活を始めるうえで非常に有用な経験となりました。

 

結婚前に半同棲期間があったのですが、私が「ただなんとなく」飾っていたものや、ちょっとした物の配置が妻にとってストレスフルなものであったり、他に置く場所がなかったから仕方なしに置いていたものが「そこでなければいけない」ものと捉えられてしまったりと、細かな部分の違和感というのが多々あったようで、この出来事以降はそういったものの擦り合わせをしっかりとするようになりました。

 

ちょっとしたものでも、毎日感じたら多大なストレスですからね…。妻には痛い思いをさせて申し訳なかったですが、スリッパの件があってよかったと思います。

 

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それぞれ違う環境で暮らしてきたのだから、当然のことが他人にとっては全く当然ではないことはありますよね。実家では私でも当然ではないことが起きすぎた気もしますが…。